【初心者向け解説】:モダンインテリアの『素材使い』
『モダンな自宅』の
▼イメージです▼



《モダン》のインテリアって、
たしかにオシャレだとは思うんだけど……、

なんか、ちょっとこう、
冷たい印象のお部屋が多くない?

うう~~ん!!! さすがです!!!
痛いところを突くのが上手い!!!
なんとなく
\ 『かたさ』を感じる /



理想のお部屋のイメージとして、
『ナチュラルなインテリアにしたい』とよくお聞きしますが!!

言う言う。
とりあえずナチュラルって言っちゃうよね。

ですが!!
その一見前向きな言葉の裏側には……、

あんまり『モダンにして欲しくない』
……という気持ちが見え隠れしていることがあります!!

分かる。
\ 解せぬ /



なんでモダンって、
ナチュラルじゃない印象になっちゃうの?

これはモダニズムが持つ、
素材の美学が大きく関係しております!!

ホホーウ!!!
『モダンらしい素材』があるのね!!

『伝統的な装飾』を否定しても、
モダンな色柄でぬくもりは表現できるはず!!

なのについつい冷たい印象になってしまう、
モダンな『素材の特徴』について理解を深めましょう!!
《関連記事》
【オシャレの価値観】:モダンインテリアは『見せる美学』
\ おモダンですね /




まず大前提!!!

《モダニズム》のインテリアには、
《クラシック》には無かった大きなルール変更がありました。

何それ何それ。

『素材が見えてOK』
……という新ルールです!!

どういうこと?
『クラシック』インテリアの
▼イメージです▼



実はクラシック時代!!!
骨組みフレームなどの『家財の材料』は見えちゃダメなものでした。

そうなの!?

素材の表面には、
『布をかぶせたり』
『木製のカバーで覆ったり』
……何かしらフタをして、材料を隠すことが美徳とされていたんです。

これは、
装飾こそが美しいという価値観とほぼイコールね。
クラシックは『素材表面』を
▼隠します▼



ですがそこで、
《モダニズム》が新しい指針を提唱します。

①過去の様式は『否定』しましょう。
②装飾より『機能美』が大切です。
③色・形『そのもの』を楽しみましょう。

前回も聞いた『モダンの価値観』ですね。

この①②③が合わさった結果、

機能に必要な『構造がむき出し』で、
使われている『材料もむき出し』という、
……新時代の家具デザインが生まれました。
モダンは『構造』も『材料』も
▼むき出しデザイン▼



これがいわゆる機能美です。

道具としての『構造そのもの』の美しさ、
使われている『材料そのもの』の美しさ、
これらをアピールする方針に切り替えたわけですね。

クラシック時代なら、
家財は『構造』も『材料』も隠されていたわけだから、

すごい大きな変化ですな。
モダンは『構造』も『材料』も
▼むき出しデザイン▼

モダンは『構造』も『材料』も
▼むき出しデザイン▼

モダンは『構造』も『材料』も
▼むき出しデザイン▼


というわけで《モダン》は、
機能も材料も隠さず故意に見せる癖があります。

『見えちゃった』じゃなくて、
『見せてんのよ』なんですね。

そういうこと、そういうこと!!

《モダン》のメインディッシュは、
美しい装飾ではなく構成要素そのものなんです。
クラシックは
▼『足した加飾』の美しさ▼



モダンは
▼『構成要素そのもの』の美しさ▼




この考え方を、
『材料の気品』
『素材の正直な使用』
……みたいに表現することがありますよ。

モダンは、
『色・形そのもの』を楽しむのと同じように、
『構造・材料そのもの』も楽しむわけですなあ。
▼まとめ▼

【モダン素材まとめ①】
■
クラシックは『ガワが大事』な価値観ですが、
モダンは『中身が大事』な価値観です。
■
モダンには、
家具建築の『構造』『材料』を
わざと見せる美学があります。
【オシャレの価値観】:モダンインテリアの『安定と均質』
\ おモダンですね /




という独自の価値観がありますので、

実はモダンは、
『材料の選定』が非常に厳しくなります。

その『材料次第』で、
家財の美しさが決まってしまうわけですもんね。

モダニズムはけっきょく、
おうちの材料もゼロから見直したのですが、

選ぶべき『素材の条件』として、
具体的には①安定性と②均質性を満たす必要がありました。
モダンは『素材の条件』が
▼厳しいです!▼



まずは《①安定性》。
いざ家や家財を作りたいと思ったときに……、

『森があるから』木を使おう、
『石が産出するから』ブロックにして使おう、
……これでは昔ながらのやり方のままです。

クラシック的な発想ってことですな。

ですです。
でもこれでは、素材の安定供給ができません。
家は『材料』が
\ いっぱい要る! /



建築・インテリアの素材って、
安価で大量に使える物じゃなきゃダメなんですよ。

どんだけ素敵だからって、
宝石で家を作ろうとは思いませんものね。

これはある意味、
暮らしの素材が持つ宿命でもあります。

クラシック時代の『木』や『石』だって、
当時としては安定供給できる部類だったからこそ、採用されていたわけです。
『植生に恵まれていた』から
▼日本は木造建築▼



お次が《②均質性》。

『職人のウデ』に質が左右されるのは前時代的です。
手作りってどうしてもムラが出ちゃうのでね。

まあそれを『アジ』と考えることもできるけど、
モダニズムとしては良しとしないってことですね。

その通り!!!

『技術』や『運』に左右されない、
どこでも同じ物が手に入る品質の均質性がまず大事。
『均質』であることを
▼大事にするモダニズム▼


でもって『見た目』も均質であることが大事。

材料自体にムラがあって、
『デコボコ』してるのって均質じゃないんですよ。

だんだん宗教じみてきたな……。

ですのでモダニズムは、
『素材表面』が平滑であることを尊びます。
『表面が平滑』であることが
▼美しい▼



装飾のない平滑な表面処理、
これがモダニズム素材の理想なんです。

よーするに、
なめらかでツルツルが最高ってことですよ。

モダンな家具って、
なめらかでツルツルしてるよね。

というわけで、
『モダニズム素材』の条件2つ。
『安定性』と『均質性』
▼という価値観▼



《①安定供給》できること、
品質と見た目の《②均質性》を保てること、

これを満たせる素材だけが、
《モダンの基本材料》になれたというわけですね。

モダニズム考えた人とは、友達になれませんわ。
▼まとめ▼

【モダン素材まとめ②】
■
モダンは『構成要素を見せる』都合上、
素材選びがとても重要でした。
■
モダンは素材の条件として、
『安定性』と『均質性』を大切にしました。
具体的には、
『同じものを大量に使える』
『なめらかでツルツルの』
素材を求めました。
【モダニズムな材料】:モダンインテリアは『人工素材』
おモダンにも
\ 程がありますね /





ということで、
けっきょく『どんな素材』を使うことになったのか?

結論から言うと、
■合板
■コンクリート
■鉄・スチール
■ガラス
■プラスチック
……というメンツでございます!!

そうだと思ったよ!!!
\ 人工的…… /



《①安定供給》が可能であり、
品質と見た目の《②均質性》もある素材、

そんなもん、
『工業的に作られた人工材料』だけなんですよ。

そんな素材、自然界にはありませんものね。
『拾って集めた』材料で
▼これは作れません▼



『自然採集』的な素材ではなく、
『産業的に生産された』素材がとっても有用。

『ぐうぜん手に入った』木や石などではなく、
『人類の力で作りだした』素材を使いましょう、ということですね。

『合板』『コンクリート』『鉄・スチール』『ガラス』『プラスチック』
……ぜんぶピッタリですな。

このメンツなら、
『工業的に作り出せて』
『職人の腕に左右されず』
『表面を平滑に加工することもできる』

《モダニズム》で使う素材として、
非常に理にかなっていたわけですね。
『拾って集めた』材料で
▼これは作れません▼



『合板』に注目してみて下さい。
イメージしにくいかもですが、モダニズムの代表的な素材ですよ。

あ~~アレ、
薄くスライスした木を『貼り付けてる』みたいなやつね。

これも『近所の木』を伐採するのと比べて、
品質・見た目が均質になりますからね。

モダン的には非常に美しい素材です。
『無垢材』こそが偉いというのは絶対的な価値観ではないぞ。
合板は『均質性』で
▼無垢材に勝ります▼



『鉄骨』とか『窓ガラス』とかは
なんとなくイメージ分かるんだけど、

『コンクリート壁』ってさ、
インダストリアルと一緒じゃない?

コンクリートを『打ちっぱなす』のが工場、
コンクリートを『整えて』素材の美しさを見せるのがモダンです。

モダンのセメント壁は、
『平滑な表面処理』だからチェックしてみて。
インダストリアルのセメント壁は
▼『色ムラ&ザラザラ』▼



モダンのセメント壁は
▼『均質&サラサラ』▼



↑そうかも。

ちなみに住宅の場合、
建材に使う素材のうち『ガラスの割合』が多いほど、

よりモダニズムな印象が高まるぞ!!

壮大なアイコンやな……。
▼ご注意▼


【モダンのセメント壁】
『均質なコンクリートほどモダン』という考え方は信じすぎないでください。
というのも、モダニストはコンクリート素材のムラを《合法柄物》としてわざと取り入れることが非常に多いからです。
『本当の色ムラ』と『オシャレでやってる色ムラ』の違いは、慣れると見抜けます。
▼まとめ▼

【モダン素材まとめ③】
■
モダンが求めた条件は、
産業的に生産できる『人工素材』が満たしました。
■
具体的に採用されたのは、
『合板』
『コンクリート』
『鉄・スチール』
『ガラス』
『プラスチック』
という素材たちです。
【モダンインテリア】:『特有のオシャレ』をぜひ楽しんで!
\ ガラスの建築 /



というわけで!!!
色々『ややこしい』ことを言いましたが!!!

つまりモダニズムで使える素材は、
『ナチュラルじゃない』ことを本分としているのですよ。

どうりでウマが合わないと思ったぜ……。
『自然』はいったん
▼忘れて下さい▼


インテリアの基礎ルール!!
『人工物はプレッシャー』であるからして、

人工物ばかり使うモダンは、
全ての素材に『プレッシャー要素』……ピリッとした緊張感が入るしね。

そりゃあモダンが苦手って人もいるよね。

ですがお話してきました通り、
『ナチュラル』からは離れるんだけど……、

モダニズム美学としては、
意味があるチョイスでもあるんです。
『モダンという価値観で』
▼非常に美しいです▼



無理に好きになる必要はないけれど、

頭ごなしに『悪いもの』とは、
思いこまないで頂けましたら幸いです。

頭の片隅には置いといてあげましょう!!
\ こういう『良さ』 /




ではでは、本日はこんなところで!!

『素材の解説』なんて、
どちらかというとつまんねえ話題だとは思いますが!!

正直者~~!!

ですが!!



これを知っておくことが、
モダンインテリアの重要な特徴を理解するカギになるんです。

次号を待て!!

そんなのアリ?
▼まとめラッシュ▼


【モダン素材まとめ①】
■
クラシックは『ガワが大事』な価値観ですが、
モダンは『中身が大事』な価値観です。
■
モダンインテリアには、
家具建築の『構造』『材料』を
わざと見せる美学があります。

【モダン素材まとめ②】
■
モダンは『構成要素を見せる』都合上、
素材選びがとても重要でした。
■
モダンは素材の条件として、
『安定性』と『均質性』を大切にしました。
具体的には、
『同じものを大量に使える』
『なめらかでツルツルの』
素材を求めました。

【モダン素材まとめ③】
■
モダンが求めた条件は、
産業的に生産できる『人工素材』が満たしました。
■
具体的に採用されたのは、
『合板』
『コンクリート』
『鉄・スチール』
『ガラス』
『プラスチック』
という素材たちです。
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素材や色や形で楽しもう! なのに楽しむ要素のひとつである素材そのものには、安定供給可能な量産素材が求められたのが不思議に感じます
これは建築物という大量に材料が必要なものだからであって、もっと材料の少ないものであれば変わるのか……。それとも特別な素材を求めること自体がクラシックに準ずることになるので、変わったりはしない??
いろんなことを考えてしまうくらい、今回も面白いお話でした! 次号も楽しみ!
これは僕が説明ヘタなだけですね 笑
量産性は『必要な条件』、
楽しさは『無くても住めるけど・あれば嬉しい』側面がありまして、
ウチの記事ではデザインのお話をしてから素材の話に進みましたが、
本来は『必要な条件』のほうが先に来るもの、先に満たすべきものです。
そして量産性という条件を満たした上で、
さらに素材や色や形を楽しみたい……という考え方は決して真逆の意見ではなく、お互い両立させられます。
『①量産の素材を使って』
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↑という順番で試行錯誤した結果、
モダニズムの巨匠ル・コルビュジエは、
サヴォア邸斜路の手すりを、シンプルだけど『船のデッキのイメージ』でデザインした、なんてエピソードもありますよ~。
説明下手な人はまず解説ブログが書けないですから笑
そうか、そこが必要条件の土台なんですね!
その上にデザインで楽しむが乗っかってるならしっくりきます。ご丁寧にありがとうございます
デッキの手すりを持ってくるのはなるほどなぁって感じですねー! 量産素材を隠さず見せたうえで実用性もハレ感もある。巨匠〜
次号が楽しみです〜!!
素材と構造は隠さないといけない、というクラシックな価値観の逆張り(笑)から出来てきたんだ、というのはとても分かりやすかったです。ガラスとかコンクリとか人工的ならモダンっていうのはどの本にも買いてあるけど、カジキ先生の説明は丁寧に説明してくださるので理解が深まります。
モダニズムをインテリアの文脈で読みやすい参考文献があったら、別記事でも構いませんので、どこかで紹介してくださると嬉しいです。
ありがとうございます~~~!!! 嬉しいです!!!
少しでもイメージを膨らませる足しになりましたら幸いです!!
参考文献のおすすめ、
リクエストが多いのでいつかちゃんとした記事でご紹介させて頂こうと思っています!!
先出しになりますがモダニズムでしたら、
原口秀昭さんの『ゼロからはじめる 建築の[歴史]入門』
藤森照信さんの『画文でわかる モダニズム建築とは何か』
あたりは超おすすめでございます~~。
※ただしどんな書籍でも『インテリアの文脈で』語られることはほぼ無いのでご注意です!!
もともと建築という『住まいのお仕事』の一部がインテリアだったので、基本的には『建築の文脈』で語られます!!
YouTubeから飛んできました。とてもわかりやすく勉強になります。
以下感想です。
ナチュラルもモダンもどちらもかっこよく見えてしまい、新築する自分の家をどうするか悩んでいてこのままでは中途半端になりそうです笑
よく住宅系YouTubeで無垢床が至高!みたいな意見を見ますが、インテリアの観点だけでみるとモダンな家にしたい場合は無垢床は逆効果かもしれませんね。
時代が進むにつれ量産が難しかった形状、質感、素材も均質に量産できるようになっていると思いますが、そうなるとモダンが指すものも変わって行きそうで、モダンという言葉が指す対象の安定性、均質性が無くなってきそうに思えました。そうなるとまた◯◯モダンと分かれたりするのかなと想像が膨らみました。
YouTubeからお越し頂いてありがとうございます~~!!!
深く読み込んで下さった素晴らしいご感想ありがとうございます!!!!
めちゃくちゃスジの良い考察です……笑
モダンシリーズまだまだ続いていきますので、また気が向くことがあれば見て頂けますと幸いです!!!(もちろんご無理のない範囲で!!!)
最近YouTubeチャンネルとブログに辿りついたばかりなので観漁ってお待ちしております!YouTubeやインスタのインテリア紹介迷宮を抜け出し油田を掘り当てた気分です!
どれもなるほど!わかりやすい!の連続で参考になります〜
このブログのせいで散財が止まりません。
ドローアライン、アクタスのフラワーベース、ドライフラワー、無印のアクリルフレーム等々、挙げればキリがありません。
またいきなり模様替えをし始め、本棚を目立たない位置に動かしたりして全身が筋肉痛です。
さらには「玄関まわりは外界との境界だから多少プレッシャー優位でもいいことにしよ♪」などと自分でも訳のわかっていない発言を口にするようになってしまいました。
「君のせいで…俺は…俺は普通だったのに…君のせいで今大変なんだから…」
某コミックの彼の台詞は今なら良くわかります。
これまで普通のオタクだったのに。
個人的にヘスティア様のヒモ理論とプリコネのフォーカルポイントの回がかなり部屋作りの参考になりました。なんか妙に悔しいけど。
長々と失礼しました。
人を沼に落とした責任として今後も更新を続けてください。
毎回楽しみに待ってます。
たくさんご参考にして下さってありがとうございます~~!!!!
実践もすごい!!! そんなに沼って頂けましたら作者冥利に尽きます!!!!
嬉しすぎるコメント本当~~に感謝しかありません!!!
もっと犠牲者様を増やせるようにこれからも頑張ります!!!
(ヘスティア様とプリコネ……!!笑)
(某コミックのチョイスもタイムリー!!笑)
モダン解説シリーズ、すごく分かりやすくて面白いです!
モダンインテリア、なんとなくカッコよくて素敵だと思うけど、自分でどう再現したらいいのか分からなかったのですが、ここまで明確に言語化していただいて、とっかかりが見えてきました。
自分はモダンインテリアの「機能美」の部分が好きで、「人工物のプレッシャー」は多少抑え気味なのが落ち着くな、とか自分の理想も明確になりました。散財も減るだろうと思います。
本当にありがとうございます。
インテリアって楽しいですね!
やったー!!!!!!!
嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます~~!!!
モダンシリーズ気合入れて書いてるので、楽しんで頂けましたらとっても報われます!!
少しでも理想をイメージするヒントになれておりましたら何よりです!!
引き続きモダンについていろんな話題を書いて参ります~~。