※画像引用元:ヤマギワ オンラインストア様より
【イレギュラー家具紹介】:名作椅子トーネットチェアNo14
スキマの時代、
《インテリアのカンブリア紀》がございます!!
前回聞きました!!!
『イレギュラーな時代』には、
『イレギュラーな家具』が登場するのが必然というもの!!
\ 『イレギュラー』な家具 /
どっちつかずな時代に生まれた、
『カンブリアンモンスター』みたいなイレギュラー家具……、
知りたくないですか?
知りたあい!!
ということで本日は!!
インテリアオタクはみんな大好き!!
名作家具《トーネットチェアNo14》を覚えましょう!!
名作家具
▼《トーネットチェア》▼
『カフェ風アイコン』としてご紹介したこともある、
とっても人気の高いモデルですね。
実はこいつ、
すごくイレギュラーなんです……。
いいねえ!!!
今回は『ヤジウマ根性』回でございます!!
インテリアの歴史における、
ヘンテコなトコロを見て参りますよ!!
▼参考文献▼
【カンブリアンモンスター】
今から5億年ほど前、『カンブリア紀』には多種多様な古生物が暮らしていました。
現代の目で見ると奇妙にも見えるその古生物たちを『カンブリアンモンスター』と呼びます。とても不思議でとても生命の神秘を感じる連中なので、興味があったらぜひ図鑑とか読んでみてください。ゾワッとします。
『彼らは進化史上で初めて、歩きまわるための脚を手に入れました。そして泳ぐためのヒレも。生物の歴史の中で初めて、泳いだり、歩いたり、追ったり追いかけられたり、食べたり食べられたりといった「動物の生き方」を始めたのです。』
※※※
カンブリアンモンスター図鑑
P5『不思議なカンブリアンモンスター』より引用
《関連記事》
【名作椅子トーネットNo14】:どんな時代に生まれたの?
家具の
\ 『カンブリアンモンスター』 /
トーネットチェアが生まれたのは、
どんな時代だったのでしょう?
《インテリアのカンブリア紀》とは、
クラシック時代とモダン時代との『境目の100年』のことでしたね。
1850年ごろに『産業革命が終焉』して、
1950年ごろに『モダニズムが普及』した、
この間の1850~1950年あたりを指すアレですな。
ですです!!
産業革命からモダニズムへ移行する『スキマの時代』、
この時代の特徴をカンタンに言うと、
『産業革命の技術はあるけど』
『価値観はクラシックのまま』
……ということになりますよ。
『柄物の商品』が
\ 欲しいわ /
当時、
機械を使って『大量生産』をするためには、
商品自体のデザインをシンプルにして、
『最低限の機能オンリー』に設計しないといけませんでした。
はいはい、
あんまり複雑なデザインだと『量産しにくい』かもね。
そうやって作られた
シンプルな家財は『機能美の商品』ではなくて、
大量生産のための『無装飾の商品』という扱いでした。
この場合の『無装飾』はほぼ悪口ね。
量産のためには
\ 『仕方ない』 /
モダニズム以前の時代に、
「ミニマルで美しいねえ~」なんて評価はもらえません。
『人間の美的感覚としては必要なはずの装飾』が、
『残念ながら施されていない家財』……というニュアンスでした。
悪口としての『無装飾の家財』!!
インダストリアルは実用性デザインだよ~!!
……というのはモダニズムではなくコレ、『無装飾の家財』です。
大量生産のために『仕方なく無装飾』だったモノたちね。
高級品と格安品に
▼『二極化』しました▼
お安い『無装飾の家財』を
たくさん作れるようになったからといって、
けっきょくお客さんは、
『高級な装飾品も』欲しかったんですよね。
『産業革命の技術はあるけど』
『価値観はクラシックのまま』
……あまりにもその通りですな。
なので家財メーカーは、
『コスパの良い実用部門』と『高級品の装飾部門』に分かれたりしてました。
鉱夫のランプは『量産デザインの実用品』、
来客室のランプは『昔ながらの装飾品』、
台所用のナイフは『量産デザインの実用品』、
食卓用のナイフは『昔ながらの装飾品』、
……このような使い分けを、家財における社会機能の分化と言いますよ。
▼参考文献▼
【社会機能の分化】
『作業道具や用品では使用上の効率が基準となったが、生活の他の側面、例えば、余暇・休養・社交向けなどの場合は、芸術的であり洗練されていることが理想だった。』
『通常、簡潔かつ機能的な形態は仕事のきびしさに対応し、その点で許される。しかし、いったん装飾や装飾品としての美術となると、多くの人々にとってはよりよい生活への憧れの象徴だった。』
※※※
引用元:インダストリアル・デザインの歴史
第2章『工業化と調和の探求』P66より
【名作椅子トーネットNo14】:どんな特徴のチェアなの?
ということで、
『産業革命の技術はあるけど』
『価値観はクラシックのまま』
……というイレギュラーな世界が今回の舞台。
そんな時代に生まれたのが、
名作椅子《トーネットチェアNo14》でございます。
ホホー、そう繋がるわけね。
作者ミヒャエル・トーネット氏は、
『産業革命』で生まれた蒸気の力を使うことで……、
それまで技術的に難しかった、
家具用の『曲げ木技術』の開発に成功しました。
インテリア有名人
▼『ミヒャエル・トーネット』▼
トーネット工場
▼『曲げ木加工』の様子▼
……ではトーネット氏、
その『曲げ木技術』を使って一体何を作ったのか?
これがですね、
曲げ木をふんだんに活用した『装飾的な椅子』だったんですよ。
価値観がクラシックのまま!!
その通り!!!
名匠ミヒャエル・トーネットは、
『産業革命の技術で』『クラシック的な美しさ』を目指した人なんです。
トーネットチェア
▼『初期モデル』たち▼
狙いは見事に当たって、
装飾性を求める富裕層には評判上々だったのですが、
だけどトーネットチェアの『初期モデル』たちは、
量産性が不十分でけっこう良いお値段しておりました。
大量生産したかったら、
「デザインを最低限にしろ」ってさっき言ってましたもんね。
ですです、
大量生産するためには『デザインのシンプル化』が必要です。
より多くの人に普及させるため、
ト―ネットチェアの初期モデルから要素を『減らして』『減らして』『減らしまくって』、
トーネットチェア
▼『初期のモデル』▼
トーネットチェア
▼『No14』▼
↑最後の一滴のように絞り出された、
『装飾チェアの』『装飾抜き』こそが、
カフェ風アイコン、
名作椅子の《トーネットチェアNo14》だったのですよ。
『チャーシュー麺の』『チャーシュー抜き』みたいな存在ですな。
おかげさまで『No14』は量産性もバツグン。
このとき出来たトーネットの工場は、
『世界初の家具量産工場』とまで呼ばれているんですよ。
最小限の要素で作られた椅子
▼なんと『6パーツ』▼
ことほどさように、
イレギュラーな出自の《トーネットチェアNo14》。
なんとなく元の美しさが残った、
この『独特のデザイン』も魅力だけど……。
けっこう残ってるよね。
だけどそれ以上に、
『大量生産できて』『当時としては激安』だったからブレイクした椅子なんです。
だからこそ『当時のカフェ』でもたくさん採用されて、
巡り巡って現代でも『カフェ風アイコン』的な存在になったわけですね。
トーネットチェアNo14は
▼《カフェ風アイコン》▼
ネットで見かける
名作チェアの『解説ブログ』なんかでは、
『時代を先取りしたデザイン』
『シンプルで機能的だからよく売れた』
……みたいに書かれていることがあるのですが!!
ふむふむ?
ですが個人的な解釈としては、むしろ逆で!!
『高級な装飾品』と『チープな実用品』に二極化した世界で、
『装飾性を感じるデザインを』『量産価格で提供した』からこそ、
……市民権を得たチェアなんじゃないかな~と思っていますよ。
そのイレギュラーな出自ゆえ、
『限界までのシンプルさ』と
『もとの装飾性の名残り』と
『量産化によるお手頃価格』とが、
……絶妙なバランスで着地しているこの名品!!
よかったら『名前だけ』でも、
頭の片隅に置いて頂けましたら幸いです。
こまかい解説はともかく、
「妙な歴史を持ってるイスだな~」ってのは頭にこびりつきました。
カンブリアンモンスターの最強格!!
『家具のアノマロカリス』といっても過言ではない椅子ですよ!!
言いたいだけでしょ。
▼参考文献▼
【トーネットチェアの装飾性】
『トーネットのデザインの優美さや品質の良さは議論の余地がない。しかし、そのデザインにはよく言われるような「必然性」はなく、多くのモデルは非常に装飾的だった。』
※※※
引用元:インダストリアル・デザインの歴史
第2章『工業化と調和の探求』P58より
【カフェ風アイコン】:トーネットチェアの歴史でした!
『カフェ風インテリア』で
\ 座りたい椅子 /
というわけで!!
とってもイレギュラーな《トーネットチェア》!!
ういうい!!
『産業革命の技術』で発明されたけど、
モダニズムじゃないから『装飾』されて、
『装飾』のためにデザインされたのに、
大量生産の都合で『シンプル』になった、
ものすごくカンブリアンモンスターな名作椅子なのでした!!
\ グオオオオオオン /
だからと言ってキワモノというわけではございません。
チェアってご先祖様が『4種類』しかないんだけど、
1800年代に生まれたばっかりのト―ネットチェアが『その1種』に入ってたりしますよ。
本当にすごいじゃん。
さらにトーネット社は、
実はバウハウスと同じ『ドイツ』にあった会社でして。
▼トーネットチェア▼
▼カンチレバーチェア▼
『曲げ木技術』もしっかり伸ばして、
のちにバウハウスの
《カンチレバーチェア》の生産も担当してますよ。
《トーネットチェア》の技術が、
《カンチレバーチェア》につながったの!?
最終的には現代まで、
トーネットチェアが『カフェ風アイコン』
カンチレバーチェアが『モダンアイコン』
……としてどちらも長く愛されていますからね。
イレギュラーだなんて言いつつも、
すげえ奴なんですよ『トーネット系譜』。
愛称は
『カフェチェア』
▼『コーヒーハウスチェア』▼
何にせよ《トーネットチェアNo14》!!
歴史的に確かな、
『インダストリアルに使える』『曲線チェア』でございます!!
レアキャラすぎる。
無理に買わなくても『お部屋作り』はできるけど!!
もしも『コーディネート実例』で見かけたら、
良い椅子使ってんねえと思って下さいませ~。
思う思う。
【トーネットチェア】
▼取扱店様▼
ヤマギワオンラインストア
『Thonet / トーネット』
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《クラシック時代》と《モダン時代》との間には!!