画像引用元:カール・ハンセン&サン公式様より
【北欧インテリア】:家具のスカンディナヴィア・ハーモニー
おしゃれな
\ 『北欧家具』 /




北欧諸国で共通したデザイン群を、
《スカンディナヴィア・ハーモニー》と呼びます!!

ういうい!!
『過去記事の復習』ですな!!
前回の
▼『スカンディナヴィア・ハーモニー』▼




前回は!!
いろんな『ハーモニー』が存在する中でも!!

自然好きな文化圏で生まれた、
『ナチュラルモチーフ』をイメージソースに使う国民性のお話でした!!

『植物の絵柄』が好きとか、
『ストライプ柄』が好きとか、
『グレイッシュな色』が好きとか、
……なんかそういうやつ!!

これらは言わば、
色柄のスカンディナヴィア・ハーモニーでございます!!
北欧らしい
▼『色柄』のお話でした▼



今回は『視点』を変えて!!

色柄だけでなく、
家具のスカンディナヴィア・ハーモニーも見てみましょう!!

ホホ~!!
家具にも『北欧らしい形』があるわけね!!
『北欧らしい』
\ アームチェア /



《前回の記事》
【北欧インテリアの特徴】:狭小住宅のための家具
『北欧らしい』
\ 簡易ベッド /




今回ポイントになるのは、
おなじみ『第二次世界大戦』でございます。

よく出てくるよね第二次世界大戦!!

建築とか家具とかって
よっぽどじゃないと総取っ換えなんてしないから、

インテリアの世界では、
『大きな戦争』とか、
『大きな火事』とか、
イレギュラーな事件が歴史の転換点になりがちですよ。
街並みは
▼『大災害』で変わりやすい▼



ああそうか、
『元々あった家』が壊滅しないと、
『新しい家』に代替わりしないのね……。

第二次世界大戦は
『枢軸国』対『連合国』の構図で、

このどちらにも、
北欧諸国は含まれていなかったんだけど。

言われてみれば、ハイハイ。
第二次世界大戦って北欧のイメージないよね。
開戦から
▼『3か月後』くらい▼



だけど第二次世界大戦の最中に、

『北欧のいちばん右端』にある
フィンランドがソ連に侵攻されたのでドサクサで参戦しております。

巻き込まれたっぽい!!

この第二次世界大戦中に起こった
フィンランド・ソ連の争いのことを、

『冬戦争』と呼びますよ。
フィンランド・ソ連
▼『冬戦争』▼



ということで、
なんやかんやで北欧にも『戦後』があり、

ダメージを受けた国土を回復させるために、
復興をする必要がありました。

いっぱい家を建てたんですな。

戦後の復興期には、
少ない資材でなんとか家屋を復活させないといけません。
『少ない資材』で
▼復興する必要がありました▼



そのためフィンランドでは、
『小ぶりの規定サイズ』で家を建てたら
『政府から助成金がもらえる』という、

《アラヴァ住宅》と呼ばれる制度が作られ、
たくさんの人々がこれを利用しました。

おおおお、重要そうな制度!!

アラヴァ住宅をうまく活用するためには、
『小さな家を』『効率よく』使う必要があったため、

アラヴァ住宅を前提とした、
『小さく見える家具』
『省スペースの家具』
……がたくさん作られるようになったんです。
『小さく見える家具』
▼『省スペースの家具』▼



このとき、
バウハウスなどの『モダニズム・機能主義』も参考モデルにされており、

椅子の背もたれは『薄く細く』軽快なデザインに、
ソファは『固く締まった』コンパクトな詰め物になっていきました。

ソファって、
中身が『ドバッと詰まってムチムチ』だとクラシックで、
中身が『ギュッと詰まってカチカチ』だとモダンなんや!!

そして北欧デザインの
特に大きな特徴として、

家具の脚は、
『先に向けて細く』テーパーするようになったんです。
イルマリ・タピオヴァーラ
▼『ピルッカ』シリーズ▼



家具の脚が『テーパー』していると何が嬉しいか?

メリットがあるからそうしたんですよねえ。

足がテーパーしていると
3ヒモの中で一番目立つ『底面』『床との接地面』のパーツが細くなるので、

家具自体のサイズは同じだったとしても
視覚効果として圧迫感が減るんですよね。
イルマリ・タピオヴァーラ
▼『ファネットチェア』▼



ありましたなあ!!!!

『目立つパーツ』が軽い印象だと、
家具全体の印象を引っ張ってくれる法則!!

これなら、
《アラヴァ住宅》で定められた狭小住宅にもピッタリなので、

人気はどんどん広がり、
現代までつながっている北欧の基本デザインになりました。

これはまさに!!
北欧家具の特徴ですな!!
▼参考文献▼
【アラヴァ住宅】
『政府の助成金で、出費を抑えて家を建てるアラヴァ住宅と呼ばれる制度があり、その小ぶりの規定サイズに合わせて、全スペースを効果的に使えるデザインが必要でした。』
『30年代の立派なソファやかさばる家具のためのスペースは、もうなかったのです。』
※※※
北欧フィンランドのヴィンテージデザイン
P56 第3章『ウィンザーチェアとくつろぎの家』より引用
【北欧家具のデザイン】:テーパー脚・ハの字脚・フロート脚
『北欧らしい』
\ いろんな家具 /




家具の具体例も見てみましょう!!

1950年ごろの北欧では、
コーア・クリントの影響でリ・デザインブームがありました。

北欧ってマジで、
すぐにウワサが広まる国々なんですな。

中でも特に流行したのが、
『ウィンザーチェア』のリ・デザインでございます。
英国クラシック家具
▼『ウィンザーチェア』▼



ウィンザーチェアって、
本来はイギリスのクラシック家具なんだけど、

『椅子の4大潮流』の一つなので、
リ・デザインの元ネタに使われることが多かったんですよ。

『ローグライク』とか、
『ソウルライク』みたいな感じかな。

クリント派の面々も、
ウィンザーチェアのリ・デザインをたくさん作っていましたし、

それ以外のメーカーも、
北欧の家具屋はみんな自社バージョンのウィンザーチェアを作っていたそうです。
『フリッツ・ヘニングセン』
▼ウィンザーチェアのリ・デザイン▼



このウィンザーチェアってのが、
すごくテーパー脚なんですよね。

おお、たしかに。

もともとクラシック時代には、
装飾の一環として脚に丸みをもたせることもあったので、ルーツ的にもすごく自然。

狭小住宅の対策には
『いろんな案が考えられる』けど、
『テーパー脚を採用した』というのは、
……リ・デザイン好きな北欧らしいアイディアとも言えますね。
『イルマリ・タピオヴァーラ』
▼ウィンザーチェアのリ・デザイン▼


さらに、
ウインザーチェアは『ハの字脚』になっています。

安定性のために、
『外開き』……椅子の脚が外側に向けられているんですよね。

ハの字脚って安定するの?

ドカッと座ったとき、
『まっすぐ脚』だと転んじゃうけど、
『ハの字脚』だと耐えられそうな気がしない?

安定性あるわ。
大丈夫そうな気するわ。
『ハンス・J・ウェグナー』
▼ウィンザーチェアのリ・デザイン▼


『ボーエ・モーエンセン』
▼ウィンザーチェアのリ・デザイン▼



北欧は当時だけに限らず、
現代でも『ハの字脚』の家具がすごく多いのですが、

ウインザーチェアがアホほど流行ったから、
『この遺伝子』が北欧に残っちゃったのかもしれません。

北欧って、
チェア以外の家具にも『ハの字脚』がいっぱいあるんや。

現代の家具屋さんでも、
『北欧テーブル』
『北欧ベッド』
『北欧ソファ』
『北欧シェルフ』などなどを……、

歴史を知った上で見ると、
『テーパー脚』と『ハの字脚』の商品をたくさん見つけられますよ。
『テーパー脚』『ハの字脚』
▼いろいろあるよ▼



『偶然』で済ますには
▼無理がある…▼




また狭い住宅では、
椅子などをスタッキングできれば便利です。

スタッキングというのは、
『重ねてコンパクトに片付けられる』ってことね。

ういうい、一応なんとなくわかります。

北欧おじ《アルヴァ・アアルト》も、
スタッカブルな家財をたくさんデザインしたのですが、

椅子の脚ってね~、
『座面の真下』に脚があると重ねにくいけど、
『座面の外側』に脚があると重ねやすいんですよね。
アルヴァ・アアルト
▼重ねられる『611チェア』▼


アルヴァ・アアルト
▼重ねられる『チェア68』▼


アルヴァ・アアルト
▼重ねられる『スツール60』▼



↑あ~ハイハイ!!

『座面より外側』に脚があると、
下の椅子と干渉しにくいわけね!!

なのでスタッキングチェアは、
『座面の外側』に脚があるのがセオリーなのですが、

この副産物として、
外側に脚があると『座面が浮遊してる』っぽく見えるんですよね。
外側に脚があると
▼『座面が浮いてる』ように見える▼


外側に脚があると
▼『座面が浮いてる』ように見える▼



座面が浮遊してると
軽そうに見えるので『重苦しい印象』の軽減にもバッチリ。

まるで座面が浮かんでるような脚、
『フロート脚』も北欧家具デザインの特徴ですよ。

ホホーッ!! 見たことあるかも!!

北欧はこの効果も、
椅子だけでなく色んな家具に応用してまして、

『重たい家具本体』を、
『脚でしっかり支えているぞ』という、
……印象が少なくなる意匠を非常に好みます。
北欧はテーブルも
▼『フロート脚』▼


『脚の数を半分』にして
▼浮遊感を高めることもあります▼



↑もはやスタッキングしない家具にまで!!

現代でも北欧家具は
フロートデザインが大好きで、

こちらも
《スカンディナヴィア・ハーモニー》の一つになっていますよ。

『北欧っぽい家具』と一口に言っても、
いろんな経緯と結論があるんですなあ。
▼参考文献▼

家具デザイナー
【イルマリ・タピオヴァーラ】
『1938年、イルマリ・タピオヴァーラは、ロンドンやパリでの経験を経て、ヘルシンキの北にある大手家具メーカーのアートディレクターに就任します。しかし、ほどなくしてソ連がフィンランドに侵入し、第二次世界大戦へと突入します。』
『戦時中の東部戦線で、彼は限られた道具と資材で兵士のための施設や家具の製作を担当。この経験を通じて、いかに最小限のリソースで最大の快適性を生み出すことができるのか考えるようになります。』
※※※
アルテック公式様
『人々のためのデザイン イルマリ・タピオヴァーラと「ドムス チェア」』
より引用
【北欧インテリアの作り方】:家具のデザイン編でした!!
ウェグナーのYチェア
『テーパー脚』
『ハの字脚』
▼『フロート脚』▼



というわけで!!
家具の《スカンディナヴィア・ハーモニー》!!

『テーパー脚』!!
『ハの字脚』!!
『フロート脚』!!

住文化というのは、
いろんな歴史が絡み合って形成されるものなので、

今回お話した理由だけが
『ただ一つのルーツ』とは必ずしも断定できないのだけど!!
モーエンセンのテーブル
『テーパー脚』
▼『ハの字脚』▼




だけど、
戦後復興のための『アラヴァ住宅』や、
リ・デザインブームによる『ウィンザーチェアの流行』などなど、

『北欧デザインの遺伝子』として、
無関係とは言いにくいんじゃないかな。

イマドキ『断言』しないと売れないよ。

なんにせよ現実問題!!
ウェグナーのちゃぶ台
『テーパー脚』
▼『ハの字脚』▼



北欧家具には、
こういった特徴が明らかに多いので、

インテリア好きの間では、
『北欧らしさ』を見分ける便利な記号になっておりますよ。

ういうい、
まあそういう面はあるんでしょうな。
ウェグナーのスツール
▼『フロート脚』▼


オーレ・ヴァンシャー
▼『フロート脚』のソファ▼



ゆーて、
ハーモニーを取り入れることで『北欧らしさ』を伝えたり、
ハーモニーを発見することで『北欧らしさ』を見抜いたり、
……それくらいは十分できる精度がありますので!!

良い感じにうまく活用してね、

うええ~~い。

ではでは、本日はこんなところで!!
素敵な北欧インテリア生活をお送りくださいませ!!

バイバーイ!!
FLYMEeで『北欧家具ばっかり』
▼表示できる便利機能▼

▼《参考文献》▼
アールトの住宅 AALTO:10 Selected Houses
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こんな感じのデザインって
『北欧っぽいよね~』という……、