画像引用元:TVアニメ「平家物語」公式様より
【アニメで学ぶインテリア】:《平家物語》と《寝殿造》の深い関係
インテリア
\ コーディネーター /
『おしゃれの世界』もお勉強ですなあ!!
……と、思わせておいて!!
実はこの試験、
『おしゃれに関わる出題範囲』はほぼゼロだったりします!!
\ こんなはずじゃなかった /
ほとんどが『法律の丸暗記』や『専門用語の丸暗記』ばかりで、
99%がクソつまんねー内容というのが実情でございます!!
もっと言葉を選ばないとほんと後で怒られますわなあ!!
その中でも特に《住宅の歴史》!!!
日本の伝統的な住居、
《寝殿造|しんでんづくり》と
《書院造|しょいんづくり》の違いは何か。
……と聞かれて、アナタ答えられます!?
小学生の頃に勉強したような……してないような……。
名前くらいは聞いたことあるけど、
『どっちも昔の家でしょ?』って感じですね。
大違いです。
大違いですが、これは知ってるからこそ言えること。
言葉の雰囲気も似ているし、なんやよーわからんというのが普通の感覚でしょう。
↑だけど僕たちには《アニメ》があるじゃないか。
【平家物語】キタ――ッッッ!!!!
800年の時を超えて、ついにアニメ化!!
《寝殿造》が《書院造》に切り替わった
『インテリアの歴史の瞬間』を描いたこの作品を、みんなで見よう!!
そんなことある!?
なお、アニメ版の指揮を執ってらっしゃるのは
京都府生まれ&京都アニメーションでご活躍の経歴が輝く山田尚子監督ですよ!!
ホッホホウ?
▼山田尚子監督作品▼
京都に多数の聖地を持つ『けいおん!』、
京都の桝形商店街をモデルにした『たまこまーけっと』と、
京都愛あふれるアニメを手がけてきた山田尚子監督が!!
『平安京の歴史そのもの』と言っても過言ではない平家物語を描く、
スジが通り過ぎの作品でございます!!
しかもこれ、アニメーション制作会社は
森見登美彦先生の作品と因縁が多い『サイエンスSARU』さんなんですよね。
『京都』に強すぎる
▼サイエンスSARU作品▼
まさに隙なし!! 隙なしどころか加点しかない!!
平家物語、僕はだいたい全話泣きながら見ました。
涙もろいなぁ……。
なんにせよ!!
この時代の暮らし・風俗について、これほどのアニメで楽しみながら学べる機会はなかなかありませんので!!
興味が湧くことがあったら、ぜひぜひ視聴してみて下さいませ。
別にインテリアコーディネーター目指してないけど、
遊び感覚でアニメ見て知識を仕入れてやりますわなあ!!
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▼【サイエンスSARU作品】:《映像研》で覚えるドローアライン▼
【アニメで学ぶ日本建築の歴史】:縄文時代は『竪穴式』・弥生時代は『高床式』
歴史を振り返って
▼いきましょう!▼
それでは参りましょう!!
2秒で分かる《日本のインテリアの歴史》!!
もう2秒経ってるけど、やったれやったれ!!
『平家物語の時代』までは超速で進めるので、
振り落とされないようにしっかり付いてきてください!!
▼【縄文時代】▼
↑まず最初が《縄文時代》。
『縄を押し付けた文様の壺』を作ってたから縄文時代ね。
この頃は『狩猟採集』の時代です。
人類は、ケモノを追いかけてウホウホと狩りをしておりました。
ふむりふむり。
狩りをしていると、生活・暮らしがどうなるのか?
▼《縄文時代》の暮らし▼
エモノを狩り尽くすたびに別の場所に移動しなければなりませんので、
簡易なおうちで生活して、引っ越しの際には『すぐに分解』『すぐに建て直し』できる必要がありました。
これがいわゆる《竪穴式住居|たてあなしきじゅうきょ》ですね。
穴を掘って、簡単な屋根をかぶせるだけ。
聞いたことあるーッッ!!!
はい縄文時代おわり。
狩猟採集のために《竪穴式住居》に住んでました。以上。
早っ!!! 2秒はオーバーしてるけど全然早いっ!!!
《縄文時代》は
▼竪穴式住居でした!▼
お次が《弥生時代》。
大陸から『稲作』が伝わってきて、農業が始まります。
前に別の記事で聞いたことある!!
農業が始まると、水のある場所に『定住』する必要が出てくるんですよね!!
その通り!!
しかも『ネズミに狙われずに米を保管する』必要も生まれます!!
ヒトが『ネズミをとるネコ』と
仲良くなり始めたのも
▼稲作が一因という説があります▼
▼高床式倉庫▼
↑そんな需要で作られたのが、
弥生時代の建築《高床式倉庫|たかゆかしきそうこ》でございます。
それも学校で聞いたことあるーーッッ!!!
『定住』と『米の保管』のために生まれた建物なんですね!!
はい弥生時代おわり。
需要に合わせて『定住できる建物で』『床を高くした』のが弥生時代の特徴です。
『稲作のために高床式』
▼……が弥生時代です!▼
さらに農業の発達は、社会に大きな影響を与えました。
ずばり『貧富の格差』の発生です。
もう金持ちと貧乏人の差がついちゃったんだ……。
労働力として使われる『庶民』たちは、
縄文時代の《竪穴式住居》を継続させながら暮らしてゆき……、
米作りでひと山あてた『金持ち』たちは、
《高床式の住居》を発展させた豪邸で暮らすようになってゆきます。
『床が高い』のを
▼ご確認ください▼
↑こうして時代は、
物語の舞台《平安時代》へとつながります。
お金持ち達がやがて『貴族』となり、
《高床式住居》を発展させたものが、
平家物語に登場する《寝殿造|しんでんづくり》なのですよ……。
話のはしょり方がジェットコースターすぎる。
《関連記事》
【アニメで学ぶ平安時代の建築】:寝殿造は『貴族のため』『気候のため』
平安時代の建築を
▼見ていきましょう!▼
それでは!!
教科書の文章ではクッソ覚えにくい《寝殿造》の特徴を見て参りましょう!!
カジマグ先生が苦手なだけで、
普通に理解してる読者様もいると思いますけどね!!
▼寝殿造です▼
↑まず一つ!! デカくて広い!!!
んん?
《寝殿造》は、内部で部屋が分かれていません!!
大きい部屋を
▼『ついたてで仕切って』使います▼
↑だだっ広い1部屋を、
『パーテーションで仕切って使う』のが基本なんですよ。
ああ!?
『金持ちだから広い』ってだけじゃなくて、
『1部屋をパーテーションで分割して使う』から、
わざと広く作ってあるってこと!?
そゆことです!!
背景がいつも
▼『壁』ではなく『ついたて』です▼
え、じゃあ『個室』とかは無いの?
廊下を伝って東西北に『それぞれ別の建物』があるんじゃよ。
それがまあ、個室と言えば個室。
廊下で『隣の建物』と
▼つながっています▼
『プライベート用に一軒家がある』みたいなもん!?
すごいですね!!
いやあ、それがね。
プライバシーというか『個室空間』はほぼ無いんです。
なぜなら、《寝殿造》の建物には壁がないから。
ハァ?
▼寝殿造には『壁がない』▼
ほんまや、『柱』しかないじゃん!?
そう!!!
《寝殿造》の建物は、壁がなくて柱ばっかりなんですよ!!
アニメをよく見て下さい。
壁の代わりに、スダレみたいなカーテンぶら下げてるでしょ?
▼スダレみたいなカーテン▼
え、これ。
一時的なものじゃなくて……ずっとこうなの?
うん。
うんて。
寝殿造がやたらと開放的なつくりになっているのには、
いくつか理由がありまして。
『当時の暮らし』と密接に
▼関わりあっています▼
まず一つ、日本の気候と風土の影響です。
ああ、それは関係あるよね。
前にも解説しましたが、日本は高温湿潤です。
日本の気候は
▼『高温』『多湿』が特徴です▼
住居もこれを大前提にして作られますが、
まあ順当に『暑さ対策』『湿気対策』として開放的な建築が好まれました。
そりゃそうだよね、わかるわかる。
寒くても重ね着すれば耐えられるけど、
エアコンがなければ暑さはどうしようもないですしね。
『暖かい季節に強い建築』が
▼好まれました▼
かの吉田兼好も、
《徒然草》の中で『家の作りやうは、夏をむねとすべし』と説いております。
そんな時代から夏に弱かったんだ、日本人。
平家物語にも登場しますが、
女性の衣装で十二単(じゅうにひとえ)ってあるでしょ?
▼CV:早見沙織▼
あれも、あんなに布を重ねて何やってんだって言うと、
布と布の間に『空気の層』を作って保温してるって説があるんです。
え!? あれ実用的な意味あったんだ!!
ようは当時の日本なりのダウンジャケットですね。
『空気の層』で
▼防寒する衣類です▼
『建築』で夏対策をして、
『装束』で冬対策をする。
ああ見えて、けっこう理にかなった生活をしているんですよ。
はえー、なるほどね。
そして、日本の建築が開放的な理由がもう一つ。
▼CV:水瀬いのり▼
《寝殿造》ってのは貴族の住処だったので、
催事や儀礼に使われることが多かったんです。
ああ、『行事用』なんですね。
イベントによって
集まる人数が違ったり、
必要な部屋の広さが違ったり、
部屋と庭をセットで使わないといけなかったり、
催しによっては
▼『庭』も合わせて使います▼
適宜おうちを
イベントに合わせた形に変えなければいけなかったので、
思いっきり『臨機応変な対応ができる仕様』にしたわけですね。
ははあ。
最初っから『部屋数』とか『部屋のサイズ』とか決まってたら調整できませんものね。
間取りに余裕があるので
▼『丸い柱』なんかも使ってました▼
そういうわけで。
気候風土の事情からも、用途の問題からも、
寝殿造は『広くてデカくて』『開放的で壁がない』作りになっていた
……というわけなんですね。
へぇー!! へぇー!!!
ちなみに、寝殿造りの中でも
平家物語でよく登場する『池付きの庭があるエリア』。
▼『池』があるエリアです▼
↑ここが主に催事や儀礼を執り行うエリアで、
この公的な『南面部分』のことを【ハレ側】と呼びました。
イーッ!? 『ハレとケ』のハレですか!?
そうそう。
ウチのインテリア理論の基礎はこれです。
逆の『北面』が
▼日常生活のエリアです▼
↑ほんでもって逆の『北面部分』は
住人の私的な日常エリアになっていて【ケ側】と呼ばれていました。
完全にうちのブログの理論じゃん!!!
まさかこの元ネタの一つを
アニメ《平家物語》が理由で解説することになるとは夢にも思いませんでしたね……。
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【寝殿造のインテリア】:平家物語で覚える『臨機応変な家具』『室礼』
- お部屋の要素は『リラックスとプレッシャーの割合を2:1にする』
- その『プレッシャー1』は、『個性』と『ハレ』で表現する。
と、ここまでが『建築』の話。
ここからが『インテリア』です。
あ、そっかそっか!!
今のは『建物の構造』の話ですもんね、『家具』はまた別か。
建築の話とインテリアの話は
連動してるけど似て非なる分野なので、普段から見分ける癖をつけて下さいね。
大きな声では
▼言えませんが……▼
『洋服をおしゃれにコーデしよう』がインテリアで、
『最初からイケメンに生まれよう』が建築なので、
混同するとズレた努力でめちゃくちゃ遠回りしますよ。
『インテリアのテクニック!』って甘い言葉で誘い込んでおいて、
気づいたら『リノベ業者のオススメ』ばっかり紹介してるサイトよくありますもんね。
リノベは紹介料がデカイので『案件的にオイシイ』からなんだけど、
そこは触れすぎると消されるから注意めされよ。
お行儀よく
▼しましょうね!▼
ともあれ家具です。
寝殿造は開放性と流動性が大事なので、
『移動できる家具』ばかりにした……というのがポイントですよ。
そもそも移動できない家具なんてある?
作り付けの家具、
……いわゆる『造作家具(ぞうさかぐ)』が無かったんですよ。
『建築』にくっついてる家具が
▼造作家具です▼
作り付けの壁じゃなくて、
すだれをぶら下げるだけの『御簾(みす)』、
作り付けのふすまや障子じゃなくて、
カンタンに移動させられる『ついたて』、
敷き詰めるタイプの畳じゃなくて、
必要な場所にボンと置く『置き畳』。
造作家具がなんにもない『柱ばっかりの建築空間』に、
家具だけがポトリポトリと置かれている……これが《寝殿造》の大きな特徴です。
マジですか。
全然気づいてなかったけど、言われてみたらそうなのかもしれませんね。
必要な場所だけに
▼『置き畳』です▼
【移動式の家具】
『ついたて』や『置き畳』など、お部屋を変化させるときに使う調度品類を
《室礼(しつらい・しつらえ)》と呼びました。
ちなみに当時の『畳』は超高級品ですが、
米作りでとれる副産物『稲わら』があってこそ生まれた家財ですので、
弥生時代の米作りのセレブたちが
のちに高床式の《寝殿造》で畳を使うようになったのは非常に自然な成り行きだったりしますよ。
めちゃくちゃ連動してますな!!!
『流れで知ると覚えやすい』ってのは確かにあるかもですね。
▼『流れ』で覚えてゆきましょう!▼
ともあれ。
『建物は柱だけ』『中身は移動できる家具ばっかり』というのは、
とにかくお貴族様が
『行事』や『宴』を執り行うことばっかり考えて作られた建築だったから、というわけですよ。
だんだんイメージが膨らんできましたよ。
まさに栄華を極めていた平家のための建築って感じなんですね。
ですが激動の時代です。
おごれる人も久しからず、盛者必衰の理をあらはす。
物語の中でも描かれた平家滅亡を経て、
時代は『貴族社会』から『武家社会』へと本格的に転換します。
優雅な時代が終わって、
荒れくれ者どもの時代に突入していくってことですね。
世間は一気に治安が悪くなったため、
■①:『個室が離れ』だと怖いので、建物は真ん中に集合させる。
■②:真ん中に集合だと『部屋と部屋との区切り』が必要なので壁が生まれる。
■③:壁が生まれたら部屋の役割が固定されるので『造作家具』が生まれる。
■④:『壁付き部屋』と『造作家具』がセットになった物件が、
次の時代の建築《書院造|しょいんづくり》として定着する。
……という流れでございます。
ホウホウホウ!!!
『壁があって』
『個室になってて』
『作り付け家具がある』
▼……のが書院造です▼
……《寝殿造》と《書院造》の違い、完全に別物ですわ。
なお、アニメ平家物語の中で
清盛入道が《厳島神社(いつくしまじんじゃ)》の社殿を大改築しましたが、
▼《厳島神社》です▼
↑厳島神社はインテリアの歴史上、
『最後の寝殿造』と言われている非常~に重要な建築なんですよ。
ほんっとにインテリアの歴史的に
重要なターニングポイントなんですね!! 平家物語!!!
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【アニメで学ぶ寝殿造】:よかったら《平家物語》を見てみて下さいね。
というわけで!!!
インテリアコーディネーター試験の参考書に絶対出てくるけど!!
絶対覚えさせる気がない寝殿造について、
少しでもイメージを膨らますことができたでしょうか!!
わかってみれば余裕でしたわ。ありがとうアニメ文化。
どうしようもなく
▼『優しい物語』だと感じました▼
実際にコーディネーター目指してる方は少ないと思いますが!!
いざ『勉強のための勉強』をしようと思うとやる気が出ないものです!!
今のうちに遊び感覚で全体的なフンイキを頭に入れておくと、
いつか知識が必要になったときに楽になりますよ。
うむりうむり。
細かいことまで覚えてなくても、
「なんかこんな話あったな~」ってとっかかりがあるだけでだいぶ違いますよね。
少しでも『後世に伝える』お役に立てたら
▼幸いです▼
まあ、言うても
インテリアコーディネーターの勉強になるよってのは建前みたいなもんですが!!
出題されそうな単語の暗記とか全くしてませんしね!!
現実的な使い方としては、
『旅行で史跡をめぐるとき』や、『歴史モノのアニメを楽しむとき』などに、
「おっ、あの建築ちょっと分かるかも!」と、
一歩進んで楽しめるようになってくださったらコレ幸いでございます。
聖地巡礼だって、
『よくわからん古い家だな』って思いながら見学するより楽しくなりそうですもんね。
『楽しい』と
▼感じることは大切です!▼
なんにせよ!!
『インテリアコーディネーター』さんの勉強内容や、
『住宅・住まい』の歴史について、
少しでも身近に感じるきっかけになれたら重畳でございます!!!
ではまた!! 機会があったらお会いしましょう!!
みなさま素敵なインテリア生活を!!!
バイバーイ!!!
バイバイ!!
▼アニメ【平家物語】公式PV▼
(おすすめです)
アマプラ【無料体験あり】:平家物語(1)
▼参考文献▼
復習にピッタリ!
▼『YouTube版』もあるわよ▼
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望まれない方はサイト外でお買い物を楽しんで下さいませ~。
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インテリアコーディネーターの資格を得るためには、
『試験』に合格しなければいけません!!